公式小説『Bloodline』で判明した多くの新事実


スター・ウォーズの映画以外にも、TVアニメシリーズ、小説、コミックなど様々な公式作品が誕生していて、それらで描かれているものはどれもCanon(正史)とされています。

個人的にはアニメシリーズの一部には正史というには疑わしい内容もあるのですが、それと比べて小説はコンセプトがかなり限定されていることもあり、比較的ストーリー上の脱線は少ないかもしれません。

ディズニーとルーカスフィルムが最重要視しているのは間違いなく新3部作(EP7- EP9)であり、そのストーリーを補完するためにリリースされる小説は、まさに映画と直接繋がりのある世界観だといえます。

今回紹介する小説『Bloodline』は『フォースの覚醒』の6年前が舞台です。オリジナル3部作と『フォースの覚醒』の間には映画内の時間で30年以上経過しているため、オリジナル映画で伝説となったキャラクターがその後どうしていたかは当然気になるところだと思います。

leia boolline cover

©Disney

『Bloodline』はそういったファンの疑問にも答えてくれます。しかもこの小説の製作には『最後のジェダイ』で監督を務めるRian Johnsonもアイデアを提供したとのことで、映画と小説との連携性/関連性は抜群です。

興味深い事実も多数判明しており、今回はそれらを取り上げていきます。

銀河内の政治状態

『フォースの覚醒』が批判されたことの一つとして、帝国支配以後の銀河の政治状況が一切説明されなかったことです。

オリジナル3部作でルークたちが帝国を倒し、平和を勝ち取り一件落着、それがスター・ウォーズの原点だったはずです。

しかしそれから30年の時間が経過した『フォースの覚醒』では、ファースト・オーダーという新たな組織が台頭し、スターキラー基地によって新共和国の惑星があっさり破壊されてしまいます。

この辺りの政治的対立が不鮮明なため、誰がそして一体何を巡って争っているのかが分からず、消化不良を感じたかもしれません。

しかしプリクエル(EP1 – EP3)の政治ショーが不評だったことを考慮すると、ルーカスフィルムがそういった政治的要素を『フォースの覚醒』で極力避けたとしても理解できます。

©Disney / Lucasfilm

幸いなことに『Bloodline』ではそういった政治的背景にもスポットが当てられており、銀河内の状況を知る貴重な手がかりとなります。

2つの派閥に分断

モン・モスマという偉大な交渉役を欠くなか(モスマは病気を患っている)、新共和国はポピュリスト中央集権主義の2つの派閥に別れます。

ポピュリスト(レイア・オーガナはこちらに属する)は、独裁主義が招く恐ろしさから、それぞれの惑星が自ら権力を維持していく必要性を主張します。

一方の中央集権主義は強固な中央集権政府を望み、何らかのルールに従うことによって銀河は存立できると考えます。

双方の意見の隔たりは日ごとに大きくなり、議論を重ねても解決されることはありませんでした。

小説の中では、どちらの政党が正しいあるいは間違いだとは描かれておらず、どちらにも利点と欠点があり、それらが平等に議論されます。

ベン・ソロについて

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ルークの下で修行

『フォースの覚醒』ではベン・ソロがダークサイドに堕ちたことがきっかけとなり、スカイウォーカー家の崩壊、そしてルーク / ハン・ソロ / レイアといった3人の友情も終わりを迎えたことが説明されています。

しかし一体いつどの段階でベン・ソロが道を踏み外したのかについては、映画の中では明らかになることはありませんでした。

小説ではベン・ソロについての言及もあり、彼は叔父のルークの下でジェダイのトレーニングを行っているものと考えられています。

少なくとも『フォースの覚醒』の6年前の時点では、ベン・ソロは両親と関係を保っています。

レイとの関係

そして映画の設定上はベン・ソロの年齢は29 or 30歳(フォースの覚醒のとき)であるため、『Bloodline』ではまだ23 or 24歳ということになります。

重要な点として、公式設定上では『フォースの覚醒』のときのレイの年齢は19歳で、フラッシュバックのシーンでの彼女は恐らく5 or 6歳くらいであることが推測されます。

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そうなるとレイが惑星ジャクーに置き去りにされたのは、ベン・ソロがダークサイドに堕ちるずっと以前ということになり、ベン・ソロが起こしたとされるアカデミー崩壊事件とレイは一切関連がないことが分かります。

スカイウォーカー家の状況

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ベン・ソロはフォースのライトサイドを学んでいる最中で、スカイウォーカー家の関係にも問題は生じていません。

しかし”エンドアの戦い”以降、彼らはそれぞれ別の道を辿ったことが説明されています。

レイアは政治の世界にさらにのめり込み、新共和国の議員を務めています。

ハン・ソロは宇宙船レースのリーグにたずさわり、惑星中を旅しながら新たなパイロットを育てています。

ルークはベン・ソロと共にいることになっているのですが、彼らの状況については明らかではありません。またルークの噂として”ジェダイの伝承を追い求める奇妙な探求”をしていると語られます。

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©Disney 『最後のジェダイ』トレーラー

公の舞台からは長い間遠ざかっていて、ルークはほとんど伝説の一部と化した存在です。小説『Bloodline』ではベンがルークの唯一の弟子なのか、それとも他にもメンバーがいるのかどうかすらも言及されることはありません。

意外なことにチューバッカは故郷の星”Kashyyyk”で暮らしていて、もはやハン・ソロと行動を共にはしていません。『フォースの覚醒』ではチューイとハン・ソロは再びタッグを組んでいるため、この6年の間のどこかの時点で再会したことが推測できます。

小説ではミレニアムファルコンが既に2人の手にないことも書かれています。

レイアの秘密

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ダース・ベイダーに関する秘密

ルークとレイアがダース・ベイダーの子供であることは、スターウォーズのファンであれば誰もが知っていることだと思います。

しかしスターウォーズの世界では事情が異なります。これはごく限られた一部の者しか知らぬ真実なのです。この事実をルークから告げられたレイアは、ハン・ソロにのみ打ち明けます。しかしその後、レイアはこの秘密を徹底的に守ります。

息子のベン・ソロですらも家族の詳細については知らないまま20代を迎えます。ハン・ソロとレイアは、あくまでも息子のために秘密を保ってきたことを繰り返すのですが、これは将来何か良からぬことが起きる可能性を示唆します。

ベン・ソロが自分とダース・ベイダーの繋がりを知ったとき、何がきっかけとなりダークサイドへと引き込まれていったのでしょうか。

秘密が暴露される

『Bloodline』では、中央集権派が公共の放送でこの秘密を暴露し、それによって新共和国の議員たちがこの事実を知ることになります。これはレイアの政治的な影響力にダメージを与えることが目的です。

このニュースは瞬く間に銀河中に伝わり、レイアは精神的に打ちのめされました。一部の忠実な同盟国は彼女の味方をしてくれる一方、多くの者はレイアと距離を取るようになります。

レイアはベンに向けて急いでビデオメッセージを送り、事実を認めようとするのですが、これが実際に彼のもとに届いたどうかは分かりません。

恐らくベンは放送を通じて秘密を知ったものと思われます。

彼の両親は2人とも自分のことのみに忙しく、息子に気を配ることはなかったようです。自分が邪悪な者の子孫であり、愛する家族がそのことを長年隠してきたという事実を知ったとき、ベンの心の中で一体何が起きたのでしょうか。

ランド・カルリシアンの行方

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レイアを支える友人

TVシリーズ『反乱者たち』では登場があったものの、『ジェダイの帰還』以降を描いたそれ以外の公式作品ではランドに関する言及は一切なく、これまで空白の状態が続いてきました。

オリジナル3部作の重要なキャラクターであるのですが、『フォースの覚醒』でもその姿を現すことはなく、ファンの多くも”エンドアの戦い”以後のランドの足取りについて関心があるかもしれません。

嬉しいことに『Bloodline』ではランド・カルリシアンについても言及されるシーンがあります。

レイアが隠してきたベイダーとの秘密が暴露されたとき、ランドはレイアにメッセージを送り、彼女をサポートする意思を伝えます。レイアが苦境のとき、それを支えてくれた友人の中にランドもいたのです。

残念ながら『フォースの覚醒』での登場はなかったものの、『Bloodline』以降の6年間にランドの身に何も起きていないことを願いたいものです。

今後の出番は

今年4月に開催された”Star Wars Celebration 2017”ではランド役を演じたビリー・ウィリアムズ(Billy Williams)も姿を見せ、オリジナルメンバーが一同に会しました。『最後のジェダイ』のキャスト一覧の中にビリー・ウィリアムズの名前はないのですが、それでもまだ『エピソード9』での出演の可能性は残されているといえます。

キャリー・フィッシャーの急死で、『エピソード9』ではレイアの出演がないことがすでに発表されており、またハン・ソロも『フォースの覚醒』で命を落としています。果たして2人の旧友のランドは奇跡のカムバックを遂げるのでしょうか。

レジスタンスの設立

犯罪組織が暗躍

『Bloodline』のストーリーの核心は、水面下で進む犯罪行為の脅威をレイアたちが捜査するところにあります。

この犯罪行為はNikto Rinnrivin Diによって率いられ、彼のカルテルはAmaxineの戦士たち(武装集団)と関係があります。そしてこのAmaxineを指揮している人物が、かつての帝国軍と密接な繋がりを持つのです。

Amaxineたちが新共和国に攻撃を企て、監視の及ばぬ宇宙の遥か辺境地で秘密裏に巨大な軍事力を創設しようとしていることを、レイアは突き止めます

©Disney / Lucasfilm

小説のラストでは、レイアはAmaxineたちの脅威を排除することに成功するのですが、この銀河のどこかに彼らと同じような勢力がいるかもしれないこと確信し、彼女は他の議員たちに指揮を執るよう要請します。

しかし彼らがその頼みを断ったことで、レイアは自ら脅威に対処することを決意します。

レジスタンスの組織を設立

レイアは共和国の承認なしにレジスタンスとなる組織を作ります。彼女に残された数少ない同盟者を結集し、世界を正すための軍を編成するのです。このときのメンバーにはアクバー提督、そしてX-ウィングのパイロットとして『フォースの覚醒』にも登場したSnap Wexley、Ello Astyがいます。

『フォースの覚醒』ではレジスタンスをサポートしているのはごく限られた一部の共和国のみであることが分かるのですが、それらの惑星も最終的にスターキラー基地によって破壊されてしまいます。

ファースト・オーダーの誕生

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映画『フォースの覚醒』では、ファースト・オーダーが誕生した経緯については一切説明されることはなかったのですが、『Bloodline』はファースト・オーダーの組織結成に関しても描いています。

ファースト・オーダーの結成には、惑星Arkanis出身で中央集権主義のCarise Sindian議員が大きく関わります。彼女はかつての帝国軍の将校やその他の賛同者と接触。そしてRinnrivin Diのカルテルを利用して、Amaxineの戦士たちを戦闘用にトレーニングします。Amaxineは倒されてしまうのですが、その後も犯罪組織との取引で得た資金でまた戦力をつくり直します。

そしてポピュリストの議員の暗殺が起きたことで、銀河中が混乱の渦に巻き込まれ、Carise Sindian議員と中央集権主義の協力者たちは共和国からの脱却を計画するのです。

『Bloodline』で判明した興味深い事実として、ファースト・オーダーはかつては新共和国の一部であったことが分かります。

しかし残念ながら最高指導者スノークに関する言及はありません。この人物がいかにしてファースト・オーダーの権力の座に就いたのかはいまだ謎に包まれたままです。

supreme leader snoke

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小説のラストから『フォースの覚醒』までのたった5年の間に、スノークが表舞台に登場し、最高指導者の地位にまで一気に昇りつめたことになります。

この辺りの説明に関しては、『最後のジェダイ』でルークの口から語られることになるかもしれません。

Rian Johnsonのアイデア

Carrie Fisher the last jedi behind the scene

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『最後のジェダイ』の監督であるRian Johnsonは、小説『Bloodline』にもアイデアを提供していて、その1つがポピュリストと中央集権主義との対立です。

映画にもこの要素が登場するかはさて置き、コンセプト自体が監督によって付け加えられたというのは面白い事実です。

噂によると『最後のジェダイ』でローラ・ダーン(Laura Dern)が演じる新キャラクターは、レイアとは対照的なレジスタンス指揮官(あるいは政治家)で、ポー・ダメロンとは宿敵の関係になることが囁かれています。

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』レジスタンスに新キャラクター「紫ドレスの女提督」

こういった政治的なスタンスの違いは、映画を理解する上で重要な要素となるかもしれません。

Source: SCREENRANT