小説『ハン・ソロ』一部抜粋、キーラ編: ハンと再会するまでの出来事


『ハン・ソロ / スター・ウォーズ・ストーリー』ノベライズ版では、コレリアの宇宙港でハンと別れた後、キーラの身に起きた出来事も描かれています。

レディ・プロキシマを裏切ったキーラは、どのような目に遭ったのか。そして、どういった経緯があってドライデン・ヴォス率いるクリムゾン・ドーンにたどり着いたのか。

公開された小説の一部抜粋では、映画で描かれることのなかったキーラの物語が登場します。

ハンと離れた後、キーラの日々

レディ・プロキシマが水の中から浮かび上がる。以前よりもずっと醜くみえた。割れた窓にはスクラムラットたちが厚い防水シートを被せたようだが、それでも全ての日光を遮断しているわけではなかった。ほんの少しそれに晒されるだけで、いったいどんなことが起きるのか、今ではキーラもそのことを十分知っている。そのことが理由だろう。レディ・プロキシマが訪問者を受け入れるのは夜のみとなっていた。

彼女はいまだにバングルとアーマーを身につけているようだ。傲慢だから、きっとそれを取り払いたくないんだろう。キーラは最初、そんなふうに思った。だが、やがて恐怖と共にある事実に気付く。たくさんのリングが水ぶくれた皮膚の中に固まってしまっていたのだ。

「キーラ、お前には期待していたんだよ。」レディ・プロキシマが話す。「お前は仕事が速い。頭の回転だって速い。お前が立てた計画は、ここにいるスクラムラットの誰よりもいつだって良かった。ずっとあたしと一緒にいて欲しかったのに。」

「私が唯一仕えるのは…」キーラはそう言いながら、頭を下げる。

「もう嘘はおよし!」レディ・プロキシマの叫びがキーラを震え上がらせた。「お前はもう二度と口を開くな。謝ったり、私に取り入ろうとしたり、この場所から出ようとするのもダメだ。お前がしでかしたことを考えると、その舌を引っこ抜くのがちょうどいいかもしれない。だけどね、彼はあなたが傷物じゃ嫌なんだ。」

キーラは恐怖の気持ちを飲み込む。ここで心配すべきことは、自分の舌か、それともその”彼”についてなのだろうか。彼女は思いをめぐらせていた。

「お前のことはもう奴隷商人に売ったんだよ。」レディ・プロキシマの口ぶりは淡々としていた。キーラの気持ちが一気に沈み込む。「あんまり良い値は付かなかった。反抗的な奴なんて奴隷には向かないからね。だけど、お前には他にも特技がある。あの男を楽しませるには十分だろう。さすがのお前の反抗心も、向こうで綺麗さっぱり無くなるだろうね。あたしがそう保証するよ。」

だが、そうはならなかった。その後間もなく、キーラは再び別のオーナーのもとに売られることとなる。それがドライデン・ヴォスだ。

最初の一年はまさに地獄だった。幾度となく脱走を繰り返し、そのたびに暴力を受けた。それでも、彼女の精神が破壊されることはない。自由になろうとする彼女を止めるものはなにもなかった。

しかしある晩、全てを変える出来事が起きたのだ。彼女は見張りを殺すと、ドライデン・ヴォスの船内にあるエスケープポッドまであと一歩の所にたどり着いた。そこで待ち構えていたのがドライデン・ヴォスだ。彼の顔は怒りで黒かった。

「ああ、キーラ。」彼は寂しそうにそう言った。顔に浮かんだ真っ赤な血管は徐々に消え去っていく。「お互いもう行き場を失ったようだな。お前のためにかなりの金を支払ったのだが。それなのに、失った代償が護衛、財産、俺の正気ときた。」

キーラは辺りを見回し武器を探す。使えるものならなんでもよかった。

「もうよせ。」ヴォスが言う。その表情は彼女がまるで愚かだと言いたげだ。「お前なんて一呼吸する間もなくやられるぞ。」

彼はキーラを上から下まで見渡し、品定めする。キーラがそれに動じることはない。男が自分のことをそんなふうに眺めるのには慣れていた。いつもなら、この状況が彼女に力を与え、奴らの油断にもつながった。だがドライデンはというと、キーラを見る目はまるで単に市場で肉を眺めているかのようだった。

「キーラ、お前はいったい何が望みなんだ?コレリアから出ようとしたとき、何を求めていたんだ?」

彼女は信じられないといった様子で、思わず笑いそうになった。この男はいったい何を言ってるんだ?「捕らわれた動物は、なぜドアに向かって走ると思う?」彼女が尋ねる。「自由よ。」

「自由。」彼は頷きながらそう言った。「だがな、お前が自由になることなんてもうないぞ。お前はクリムゾン・ドーンと、私とこれからもずっと一緒だ。さもなくばお前は死ぬことになる。それでも、お前が手にしたものもあるじゃないか。それに気付いてないのか?」キーラは戸惑い、眉をひそめる。「お前はコレリアから出れたじゃないか。あの薄汚れた下水の住人に仕える必要もない。素晴らしいものがその手にある。キーラ、お前は俺と一緒に働いてもいいんだぞ。もうただの奴隷としてではなくてな。その目を開きさえすれば、ここにはたくさんのチャンスがあるはずだ。」

キーラが目を細める。「なぜなの?」彼女が尋ねる。「なぜ私のことなんか急に信用する気になったの?あなたが言った通り、私のせいですでに被害を被っているのに。どうして今になって?」

「お前の部屋で死んでいる護衛がいるな。あれがまさに理由だ。」彼はそう言い、手をほぐしながら、キーラのほうに歩み寄る。「さあ、お前のこれからについて話し合おうじゃないか。」

©Lucasfilm

Source: starwars


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