小説『ハン・ソロ』一部抜粋が公開、命令違反したハンが軍法会議に


『ハン・ソロ / スター・ウォーズ・ストーリー』のノベライズ版の一部抜粋が公開されています。

今回の該当シーンは、インペリアルアカデミー時代のハンが命令違反をする場面で、このことが原因となりハンは惑星ミンバンに左遷されます。

ちなみに、以前ジョナサン・カスダンが説明していた通り、軍法会議の場にはレジェンズキャラクターのタグ&ビンクも姿をみせています。おそらく今回の一部抜粋のパートが、ブルーレイ/DVDにも削除シーンとして収録されているものとみられます。

©Lucasfilm

小説『ハン・ソロ』からの一部抜粋

「オニックス中隊、フォーメーションを維持しろ!」

ハンにはその声の主が分かっていた。あれを聞くといつもイラついてしまう。

フライトオフィサーのウッベルはいつだって安全第一を要求する。ウッベルみたいな奴が責任者になれるくらいだ。帝国が銀河の半分を掌握してるなんてホントは嘘で、実際はコルサントの小さめの高層ビルひとつくらいしかないのかもしれない。ハンはそんなふうに密かに思っていた。

「自分なら中隊よりも早く仕留められる!」ハンがそう叫ぶ。

「却下、却下だ、オニックス・ナイン。フォーメーションに戻れ!」

ハンはオニックス2のことが気に入っていた。彼の友人のリッタン・ドリー(Lyttan Dree)候補生だ。実のところ、自分に好意を抱いている候補生は、めっきり少なくなっていた。ハンの天性の魅力が最初は人を引き付けるのだが、ほとんどの連中は彼と一緒にいることで昇進のチャンスが少なくなることにすぐに気付いてしまう。オニックス2こと、ドリーだけは良きパイロットでありながら、ハンの友人でもあり、しかもそれでいて規則を守ることも器用にこなしていた。どうしたらそんなことができるのか、ハンは彼にずっと聞きたかった。そして今、その機会が永遠に失われるかもしれない事態に直面していた。

ハンはフォーメーションから離脱し、敵機のヘッドハンターを追いかける。自由を存分に感じていた。行きたいところにはどこへだって行けるような気がする。体形を維持している他の連中のことなんて、もうどうでもよくなっていた。ハンにだってフォーメーションの重要性は頭では分かっている。だが、実戦で彼がいつも気にするのは、自分自身と船だけだ。

彼は加速しながら、攻撃者がオニックス2の背後を取っているのを確認する。オニックス2はそれをなんとか引き離そうとしていた。ハンのヘルメットから再びやかましい声が聞こえ始め、オーディオのボリュームを下げる。オニックスのリーダーはフォーメーションに戻るよう叫んでいた。ハンのドロイドも彼にわめき散らす。

帝国のドロイドというのは最低最悪だ。ホワイトウォームの連中はドロイドを嫌っていたせいで、ハンが育った環境にはあいつらはいなかった。ドロイドはいつだってバカ丁寧で、彼がどれだけ間違っているかを腹が立つくらいクドクドと話してくる。

ハンの船の頭脳、MGK-300はまさにそんなドロイドだ。こいつときたら、船に備えられた日から、まるで船のことを誰よりも知っているのは自分だと思っているかのようだった。

MGKのいわゆるガイダンスには、これまでうんざりするほど付き合ってきたが、まだ飽き足らないのか、一心不乱にビービー音を立ててわめき散らし、彼の行動がどれだけ中隊を弱めているかを指摘している。

ハンはそれを無視する。ドロイドが伝えるのが船の異常でない限り、彼には聞く必要がなかった。

敵一機を視界に捕らえ、発射するハン。少し外れたが、片翼を飛ばすことには成功する。ここで敵は二手に別れる。ひとつはオニックス2にそのまま付き、もう片方は方向転換し、ハンを追う。

中隊のフォーメーションの存在意義はまさにこのときだ、と彼は思う。ハンは方向転換して、そのまま引き返すと、こちらに向かって飛んでくる仲間の訓練生たちと正面で向き合う。そして、彼らの下に潜り込むと、今度は中隊が発射を開始する。ハンは彼らに歓声を送るが、やがて船ががたつくのを感じると、後ろで何かが爆発した。

彼のインフィルトレーターがスピンし始める。ハンはなんとか制御しようと格闘し、後方からやかましく聞こえてくるビープ音には聞こえないふりをした。

「ああ、リバース・スラスターが壊れたことは俺も分かってるから!ありがとよ!」船がスピンし始め、周囲の世界が激しくゆらめく。こうなると、スターデストロイヤーのドッキングベイは素早く動くターゲットも同然だ。

MGKが知らせきたのは、この状況では一般的な緊急時のプロトコルで、ハンもそのことはよく承知していた。だが、それは諦めるということを意味している。彼は首を振る。「いや、脱出はなしだ!ドッキングベイにはまだ戻れる!」

ドロイドは強固な反対を示し、ビープ音はさらに加速してパニック状態となる。

この手の機械は目障りで、苛立たしく、何の役にも立たない。どうしたらこんな口やかましい奴と一緒に飛べるんだ。「よし、じゃあこうしよう。」彼はそう言うと、緊急スイッチを動かし、ドロイドのパワーを落としてしまう。MGKが邪魔することはもうない。これでようやく集中できる。

彼がスイッチを触ると、まるでドロイドが最後の言葉を伝えるかのように、コントロールパネルが火花を飛ばす。手に痛みが走り、彼は叫び声を上げる。今のはMGKがわざとやったのか?彼にもそれは分からなかった。今はそんなことを気にしても仕方がない。ドッキングベイが接近し、もうすぐそこまで来ていた。

コントロールを維持しながら減速しようと必死だった。最後の瞬間、彼は操縦かんをくいっと上げ、船のどこもぶつけることなく、ドッキングベイを綺麗にすり抜けようとする。アイデアは素晴らしかった。だが、彼の船は床に接触してしまい、バウンドすると、そのまま牽引されていた3機のTIEファイターに向かって突っ込んでしまう。コントロールパネルにあごをぶつけ、目の前に星がちらつく。知らないうちに船を逆戻りさせ、宇宙に戻ってきたのだろうかと、しばしの間、そんなことを考えていた。やがてアラームの音に気付き、自分が今どこにいるのかを思い出す。

彼がオニックス2を救ったなんて、誰も関心がなかった。

———

アルムディン准将のまん丸の顔が、まるで軍法会議の他のメンバーを覆い隠しているかのようにみえた。その場には位の高い重要人物が他にもいたが、ハンが目を奪われたのはあのバカげた丸い顔だけで、彼はその男の話を真剣に聞こうとなんとか努めていた。准将の位は彼よりも高く(実際、軍法会議にいた全員が彼よりも高ランクだった)、噂によると、あの男にも素晴らしいフライト記録があるようだ。しかし今では彼が操縦するのは机だけで、ホンモノのパイロットを軍法会議で裁くというエキサイティングな仕事をしている。

あごの切り傷はメディカルドロイドが素早く処理したのだが、まだヒリヒリしている。あのクラッシュで他にも痛めた箇所があったのだが、それは無視し、背筋を伸ばして真っすぐに立つ。

だが、将校の顔が実に苛立たせる。

軍法会議に出席していたその他の将校は、女性がふたり、男性がひとりで、どれも退屈そうにムッとしていた。まるで連中の腹の中では、すでにハンが死刑と決まっていて、奴らは単にランチを待っているだけのようだった。

「ソロ候補生。」准将が口を開く。これまでと同じように、彼のトーンには嫌悪感はなかった。「お前は勇敢なのか、それともバカなのか。私はまだ決めかねている。」

ハンは肩をすくめる。「そうですね、自分はその両方かもしれません。」そこで言葉が止まる。彼は他人のランクをちゃんと覚えたためしがなかった。この男はたしかモフだっただろうか?ここはあらゆる可能性を考えたほうがいいだろう。「その…モフ。」男の表情に変化はない。「モフ殿。」

その言葉が男を刺激してしまう。彼はハンを怒鳴りつけ、こう言った。「准将だ。もしお前がこの場では小賢しい態度でいたほうがいいと考えているなら、とんだ思い違いだぞ。」

「それで、いったい何が起きなのか。話してみろ。」男はそう続けると、スクリーンの明かりがつき、それを指し示した。その背後にはふたりのインペリアルガードがいる。タグ・グリーンリー中尉とビンク・オターナ中尉だ。もうずっと以前のことなのだが、ハンは彼らと親しくなろうと試みたことがあった。しかし、ふたりがへまばかりやらかす奴らだと分かると、このままあいつらと一緒にいたのではいつか自分が殺されるか、さもなくばあいつらが死んでしまうと思い、そうなる前にハンは彼らを避けることにした。だが、この場では仲間がいて越したことはない。彼はふたりに小さく手を振り、ニコッと笑う。ふたりは顔をしかめてこちらを見るのだが、言葉を発することはなかった。

スクリーンが照らされる。ハンは自分の船がフォーメーションを離れ、敵を追うところを目撃する。自分がこんなにも自由であることを外から眺め、誇り高い気持ちが沸き立ってくるのを感じた。彼はいつもそうだった。自分自身に感心しているのに気付き、ひとつ咳払いすると、オニックス2が追跡されていた大まかな方向を指し示した。

「ヘッドハンターにオニックス2が背後を取られていた。」彼はその一部始終を全て報告する。なぜこんなことをもう一度説明する必要があるのか、彼には全く理解できなかった。全ての情報は報告書の中ですでに伝えてあるはずだ。「もし自分が指揮命令に従い、奴らを追うことなくフォーメーションに戻っていたら、彼は今頃死んでいたはずだ。」

こんな軍法会議ばかげている。自分が仲間の命を救ったことすらも分からないのか?

「皇帝の軍には不規則な英雄行動など必要ないのだよ。」

ハンは手を上げる。まるで称賛の声を受け流すかのように。「信じてください。ヒーローになる気なんてさらさらないですよ。准将、自分が…」

と、そこで准将は突然割って入る。「そうだな、おめでとう。お前はそんなものではない。この軍法会議は、とりわけ私がそうなのだが、直接の命令に従わなかったことでお前に有罪を言い渡す。したがって、お前は歩兵部隊に配属転換となる。ミンバンへのすみやかな異動を申し出ろ。」

彼は追い出されずに済んだ。安堵の気持ちが流れる。「それは良かった。もっと悪い結果も予想していたんで。」すると彼は小首をかしげ、こう尋ねる。「それで、自分が今度飛べるのはいつになりそうですかね?」

准将は微笑む。そこには友好的なものは一切なかった。「なあに、すぐに飛ばしてやるさ。」

©Lucasfilm

Source: starwars


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