小説『Phasma』のレビュー/まとめ


『Phasma: Journey to Star Wars: The Last Jedi』を読んだので、そのレビューを書きます。今回の記事は少し長いです。ただ書いている途中で段々面倒になってきて、これでも結構説明したいこと、書きたいことは省略されています(笑)

以前の記事のタイトルで「ファズマはファーストオーダーに対する忠誠心がない」と書いたのですが、実際に読み終えてみると少し印象が違うことに気付きました。

まずファズマの性格として、ファーストオーダーのプロパガンダや政治思想を妄信するような純粋な人間ではないです。ただファズマは生来の戦士なので、自分の組織の勢力を守る、あるいは広げるということには非常に熱心なことは想像できます。

そういった意味では、ファーストオーダーの指揮官としては相応しいかもしれません。

今回の小説でファズマの魅力がよく伝わったのですが、それ以上にファズマとライバル関係にあるカーディナルの人間性がとても丁寧に描かれています。カーディナルの実直さと対比されることで、ファズマ姉さんの悪さがより際立つことになり、読み終えてみると「この小説の主人公はカーディナルで、ファズマはヴィランだ」という感想が残ります。

カーディナルは基本的には『反乱者たち』のエージェント・カラスを連想させるようなキャラクターですね。またどこかで登場してほしいです。

目次

  1. 主な登場人物
  2. 舞台設定
  3. ファズマの裏切りの歴史
  4. ファズマの人間性
  5. カーディナルの人物像
  6. ファーストオーダーの政治思想
  7. キャプテン・ファズマの人気
  8. アーミテージ・ハックス
  9. カーディナル vs. ファズマ
  10. 最高指導者スノーク
  11. レイ・スローン(Rae Sloane)

主な登場人物

ファズマ

惑星Parnassosにて原始的な環境で育つ。ブレンドル・ハックスの船がファズマの星に墜落したことでふたりは出会う。

ブレンドルはファズマの武勇を目の当たりにし、ファーストオーダーに引き入れる。

ファーストオーダーではファズマは特別待遇で扱われる。番号ではなく、ファズマという名前がそのまま使用。カーディナルの下でしばらく訓練した後、ファズマがトレーニング・プログラムの半分を監督することが当初から決定していた。

1年後、キャプテンとなっていたファズマは故郷に戻り、ブレンドルの墜落船(パルパティーンのヨット)からクロムアーマーを作成する。

カーディナル(Cardinal)

ブレンドル・ハックスから深紅のアーマーを与えられたエリート・ストームトルーパー。訓練生の教育を任されていて、カーディナルはトレーニング・プログラムの最初の前半を担当。

実直な人間で理想主義者。ブレンドル・ハックスを崇拝している。ファズマを危険視していて、彼女を追い出すための機会をうかがっている。

©Disney / Lucasfilm

レジスタンス・エージェント”Vi Moradi”

フリーランスのエージェント。レジスタンスのために活動している。ファーストオーダーの内部を調査していて、ファズマの過去も全て把握している。

任務を終え帰路につく途中、レイアによって特別任務を任される。それによってファーストオーダーに捕まってしまう。

©Disney / Lucasfilm

ブレンドル・ハックス

ファーストオーダーの幹部。兵士の徴用を任され、銀河中を旅している。ファズマの星にあるオービタル・ディフェンスシステムによって、船が撃墜されてしまう。

『フォースの覚醒』のハックス将軍の父親。10年前の時点では、ブレンドルが将軍の地位にある。

Siv

ファズマのクランメンバー。ファズマの右腕として、故郷で起きた全ての出来事を目撃している。彼女が生存していることをファズマは知らない。

レジスタンス・エージェントのVi Moradiは惑星Parnassosを訪れ、この人物からファズマの情報を得た。

ファズマと別れた後、Sivはシェルターに避難する。そこで子供を出産し、外部の人間とは誰とも接触せずに10年間過ごしてきた。Vi Moradiの船は1人乗り用であったため、必ず助けに戻ることを約束し、Viは惑星Parnassosを後にした。

©Marvel/ Lucasfilm

舞台設定

『フォースの覚醒』からどれだけ時間の隔たりがあるのかは分からないのですが、おそらく2、3年くらい前ではないかと推測されます。

レジスタンスのエージェント”Vi Moradi”がファーストオーダーに拘束され、深紅のストームトルーパー、カーディナルによって尋問されることになります。Vi Moradiは素性を隠そうとするのですが、カーディナルは彼女の正体にすでに気付いています。Vi Moradiの家族、そして過去に立ち寄った惑星の情報も把握していて、その中にはファズマの故郷が含まれていることを知ります。

ファーストオーダーのデータベースによると、ファズマの故郷はすでに消滅していることになっているようです。ファズマの過去を調べているカーディナルにとって、Vi Moradiの登場はその手掛かりを得るための絶好のチャンスとなります。

Vi Moradiもファーストオーダーの内部を調査済みで、すでにカーディナルやファズマについて詳しい情報を知っています。そしてViの証言により、ファズマの過去が明かされることになります。

基本的には物語の舞台は、尋問室にいるふたり(小説内の現在)とファズマの過去(10年前)の二つが交互に展開します。Viはファズマの故郷にてファズマのクランメンバーだった人物(Siv)と接触しており、彼女の回想録によってファズマの過去の物語が進みます。

ファズマの裏切りの歴史

  1. クランに加入するために両親を犠牲にする
  2. 仲間を見捨て、ファーストオーダーの船に乗り込む
  3. 恩人であるブレンドル・ハックスを殺害

ファズマは人生の転機となる場面でことごとく仲間を裏切り、その度に飛躍を遂げています。しかし面白いことに、ファズマの行動自体には一定の合理性があり、見方を変えればファズマの洞察力や先見性を証明しているようにもとれます。

<1>と<2>はファズマの故郷で起きたことであり、カーディナル自身も”その情報はあまり重要ではない”と話すとおり、ファーストオーダーの指揮官”キャプテン・ファズマ”の適格性には直接の関連性はないかもしれません。

しかしファズマが過去にとった行動は、彼女の人間性を理解する上では非常に重要で、それらを知った後ではスターキラー・ベースのシールドを下げた行為も不思議と違和感がなくなってきます。ファズマの行動原理や価値観を知れば、仲間を裏切ることは彼女にとって大したことではないことが分かります。いやそれどころか、そもそもファズマが周りにいる人間を仲間と思っていない可能性もあり、その辺もファズマの過去を知った後ではなんとなく理解することができます。

<3>についてはカーディナルが最も欲していた情報で、ファズマがファーストオーダーにとっても危険人物であることが分かる事例です。しかしこれも非常に面白いことで、ファズマのとった行動も見方を変えればそれほど荒唐無稽なことではなくなります。

ファーストオーダーはさらに強い組織へと変革を遂げる時期にあり、若きハックス(アーミテージ)が古いハックス(ブレンドル)を排除し、組織として飛躍するために必要な過程であったと解釈すれば、ファズマがいなかったとしてもいずれかの段階で結局は起きていた出来事であったかもしれません。

そしてブレンドル・ハックスはファズマにとっては一見恩人なのですが、実はそれほど単純ではなく、個人的にはファズマがブレンドルを手にかけたことも少し理解できます。このことは次の箇所<ファズマの人間性>で説明します。

ファズマの人間性

ファズマは過去のいくつかの段階で仲間を裏切るのですが、一番非情な場面(むしろそれ以外は理解できる)は、ファーストオーダーの船に乗り込むときにクランメンバーである”Siv”を置き去りにしたことです。

Sivはファズマに忠実な部下で、ブレンドルの船に向かう危険な旅にも同行しています。ファズマの星は過去に核爆発があり、人が住めない環境が広がっています。基本的にマッドマックスのような世界観にあり、放射能に汚染された大地が広がり、現在人が住める場所も海面上昇によって危ぶまれているという状況にあります。

ファズマのグループについては、ファズマの兄、Keldoがクランリーダーなのですが、ファズマはKeldoの意志に反し、ブレンドルを助け、ファーストオーダーに参加することをクラン全体に進言します。しかしこのことでファズマの兄と対立し、結果的にファズマは部下を4人だけ連れ、ブレンドルと3人のストームトルーパーと共に墜落船へと向かいます。

このメンバーの中にはSivも含まれています。Sivは危険な旅にも同行し、ファズマにとって信頼の置ける仲間のはずなのですが、最終的には切り捨てられることになります。

両親を犠牲にした場面がファズマの残忍性を示しているとすれば、Sivを裏切ったことはファズマの冷酷さを浮き彫りにしています。

「あの者はいったい何です?」アーミテージは離れた場所からSivを眺め、そう言った。

「彼女はちょっと年を取り過ぎているな。」ブレンドルはそう返した。「それに優しすぎて我々には合わない。」

Sivの心は動揺する。彼女は「ファズマ?」と懇願する。ファズマのヘルメットがこちらに向く。ファズマの気持ちがどこにあるのかは一切掴めない。

「Wranderousを殺せと命令したとき、お前は何をした?」

Sivは太陽に向かってまばたきする。彼女の世界が段々ぼやけていく。「私はただ正しいと思うことをしただけ。彼に情けをかけただけだ。」

「お前は直接の命令を拒否した。あれは決して許されるものではない。」

ブレンドルは微笑み、うなづいた。「ファズマ、お前はファーストオーダーでもきっと上手くやるに違いない。」

アーミテージは頭を少し下げ、「それではいいですか。父上、最高指導者もあなたと話し合いたいことが沢山あるようです。」

しかしこの直後、ファズマの人間性をよく示すエピソードが2つ登場します。私はこの場面がとても好きで、ファズマがもつ複雑な人間性をよく表しているような気がします。

Sivにステーションの場所を教える

まずファズマはSivに対して、ブレンドルから聞いた情報として、砂丘を超えた先にステーションが存在することを知らせます。そのステーションは前文明で起きた破壊からまぬがれた場所で、十分な医療物資が保管されていることも考えられます。

ファズマはその場所へ行くよう、Sivに伝えます。そしてファズマが最後に残した言葉はこうです。

「彼は正しい。お前は優しすぎる。」

結果的にこのステーションは大当たりの場所でした。100年以上は楽に暮らせるだけの食料が保管されていて、メディカルドロイドと医療物資のおかげで何の心配もなく生活することができます。そして仮に外の世界で大規模な爆発が起きたとしても大丈夫なように、ステーション内部にはシェルターも存在しています。

Sivはステーションにたどり着いた時点で妊娠していたようで、この場所で出産し、ふたりで10年間暮らすことになります。

ブレンドルがファズマの星を破壊

上記のようにSivは置き去りにされてしまうのですが、実はファズマはひとりだけクランの人間を船に連れていきます。それはFreyという名前の5歳の少女です。

ファズマたちを乗せた船は惑星上空で止まり、ブレンドルはファズマを呼び寄せ、その景色を彼女に見せます。ファズマが命をかけて戦ってきた聖地はほんのちっぴけな場所で、この惑星には広大な海が広がり、まだまだ緑も存在していることを知ります。

ファズマはあまりに綺麗な景色に息をのむのですが、ここでブレンドルは驚きの行動に出ます。

「お前に見せたいのはそれではない。いいか、よく見ているんだ。」

彼の指先がいったい何をしたのか、その動きをファズマが理解することができなかった。そして船からまぶしい光が飛び出し、激しい音と共に彼女の星にめがけて放たれていった。

彼女の手はすぐさまFreyの肩へと置かれた。しかし言葉は何も発することができない。苦しみのうめき声さえもだ。ブレンドルは自分にこの光景を見るよう強制しているのだ。彼女はそう理解した。

ファズマが暮らしていた聖地、道中に立ち寄った場所、Sivが向かったステーションも破壊の対象となり、大地が次々に消滅し、きのこ雲が立ち上がります。これはブレンドルからのメッセージです。”俺の言う通りに働け。さもなくばお前もこうなるぞ。”

ブレンドルはファズマのほうに振り返る。「ファーストオーダーのパワーが分かっただろ。我々に歯向かったものはこうなる。たとえ迷惑をかけただけでもな。」

ファズマはただ頷くしかできなかった。彼女のヘルメットはその涙を隠したのだろうか。ファズマはただ黙ってFreyの前に立ちはだかり、少女の視界を遮る。

これはレジスタンス・エージェントのVi Moradiがカーディナルに証言したものです。Viによると、レジスタンスはファーストオーダーの盗難船を入手し、それをハッキングしたことで様々な情報を得ることができたようです。その中にはあの日船内で起きたことを記録していたビデオフィードも含まれています。

ビデオ映像によると、ヘルメットをしているためファズマの表情は分からないものの、彼女の体は震えていたと説明されています。

このエピソードを聞いたカーディナルは大きなショックを受けます。「ブレンドルはなぜそのような無意味な殺戮を命令したんだ。ファーストオーダーの目的は、銀河に平和と安定をもたらすことのはずなのに…。」ブレンドル・ハックスを父のように慕っていたのですが、まだまだ彼が知らない一面が存在していたことを知ります。

そしてカーディナルはFreyのことも覚えています。ブレンドルからファズマを紹介されて数日後、ある少女が自分のトレーニング・プログラムに参加してきます。放射線の影響からか、ピンク色の肌をしていました。UV-8855(Frey)はコンバット・トレーニングでは頻繁に叫び声を上げることから、仲間から”ウァークライ”(Warcry)とあだ名が付けられます。

そしてカーディナルの下で9年間過ごした後、ファズマの船”Finalizer”に送られるのですが、その半年後、訓練中に事故死を遂げています。カーディナルの調査によると、記録上は”武器の故障”と記載されているようです。

カーディナルの人物像

ブレンドルはかつてカーディナルに、他の指揮官たちと同じ場所の宿舎を与えたことがあった。ずっと上の区画にある、現在アーミテージが使っている所だ。しかし、カーディナルは今の場所を選んだ。自分の責任の近くに身を置き、ファーストオーダーにおける仕事と謙虚さを示すため、生きる手本となりたかった。

最初は大勢の子供たちの近くにいるのにはうんざりさせられた。しかし今では我が家のように感じる。彼らの声を聞いていると、たとえヘルメット越しのフィルターを通していても、自分を笑顔にしてくれる。

それは小さくて簡素なHappaboreの彫り物だった。

もうずっと昔になる。ブレンドルは子供たちに何も持ち込まないよう話した。その代わり、ファーストオーダーが必要なものはなんでも与えてやる。父親にも母親にも、雇用主にもなってやると。

しかしArchexという名の少年は、このオブジェを自分のポケットに忍ばせた。母は言った。彼女が妊娠しているときに、お前の父親が彫ってくれたのだと。会うことの叶わなかった息子へのプレゼント。当時少年は、自分は勇敢でなおかつ無謀だと思っていた。そして最初の数年は、それを隠すのに大きな罪悪感を感じ、いつか見つかってしまうことを心配した。

今それを見下ろし、グローブの中で固く握りしめていると、昔を思い出し、相反する感情が生まれてきた。

強い感情の中、彼は突如決意した。直接の命令がない限り、決して誰かを殺めることはしない。

ファーストオーダーを内部から腐らせるのは自分なのか?強さの中にある弱い集団なのか?

いや、違う。そんなの馬鹿げている。誰かを殺めたところで、ファズマが強いということには決してならない。

彼はHappaboreの彫り物を箱の中にしまった。

カーディナルはレジスタンス・エージェント、Viとの関係を少し変えることになります。彼女の拘束を解き、食料と飲み物も与えます。そして、ラストのファズマとの対決に向かう場面では、Viに「逃げるのも、ここにとどまって死ぬのもお前次第だ。あとは好きにしろ。」と伝え、尋問室を後にします。

ファーストオーダーの政治思想

カーディナルはもともとはジャクーで孤児として育ち、ブレンドル・ハックスによってその境遇から救われます。自分と同じような環境で育った子供たちを救うことも、ファーストオーダーの存在意義だと考えています。

カーディナルの訓練生たちはまだ若く、散らかしがちだ。しかし自分たちのヘルメットを番号の書かれた棚にちゃんと並べてからでないと、食事に入ることはできない。彼らは陽気に手を振ってきて、カーディナルもまたそれに応じる。ここでは各自好きなグループで食事をしている。彼らはまだ子供にすぎない。

銀河のまだどこのテリトリーにも属していない寂れた場所から集められ、カーディナルの厳重な監視の下で偉大な兵士になるべく集まった。髪の色も肌の色も白から黒と多種多様だ。瞳の色もアイスブルー、ピッチブラック、ありとあらゆる色彩に満ちている。

トレーニング後、頭に汗を浮かべた子供たちの笑い声は、彼らの出自や過去のみじめさを吹き飛ばしてくれる。あの子たちはそこから生まれ変わったのだ。

カーディナルは大きな誇りを感じていた。これだ。これこそがファーストオーダーなのだ。人生の始まりがどれだけ低かろうが、生まれた惑星がどれだけ辺境だろうが、全ての者に成功するための平等な機会を与える。ここには金持ちの子供はいない。みんな孤児だった子供たちだ。ロビイストも利権集団も賄賂もない。飢えに苦しむことも、喉が渇くことも、野垂れ死ぬこともない。

カーディナルが知る限り、ファーストオーダーがもたらした恩恵を否定する連中は、誰であれ愚か者だ。

自分の部屋に入り、モニターの前に座る。メッセージを見ながらも、リラックスしている。彼が若い頃は、この作業は少し怖いと感じていた。新共和国の下で起きる数々の悲惨な出来事、テロリストや反乱者たちによって引き起こされる混乱や悲劇。それらを閲覧しなければならなかったからだ。

しかし今ではリラックスしたものだ。なぜなら、ファーストオーダーが立ち上がり、それらを静めてくれることを彼は知っているからだ。彼はトレーニングに関り、そこで育った兵士たちが銀河の安定のために戦うことになる。そして彼らの勇敢さには自信もある。

新共和国の議員たちは議席や支持を得るため、どうしても豊かな星ばかりに関心がいくようです。そのため貧しい星に住んでいる人たちの境遇に目が行き届くことはありません。

ジャクーで孤児として育ったカーディナルは、そういった議員にとって不都合な真実を目の当たりにしてきました。彼らにとってファーストオーダーは、住む場所や食べ物を与えてくれた恩人なのです。

またファーストオーダーとレジスタンスはコインの裏と表のような関係かもしれません。レジスタンスの視点からみれば、自分たちはファーストオーダーに対抗するために結束しているということになり、一方ファーストオーダーからみれば、テロリスト活動を取り締まり、銀河内の政情不安定な星の問題を当事者に代わって解決してやるという立場なのです。

ブレンドル・ハックスもこのことを明確にしています。「統治能力のない星を放置すれば、貧しいものはいつまで経っても貧しいままだ。彼らに代わって、監督する責務が我々にはある。それがファーストオーダーだ。」

キャプテン・ファズマの人気

ファーストオーダーの兵士の間ではファズマは英雄視されていて、訓練生にとっても憧れの存在です。食堂などあちらこちらの場所にファズマのポスターが張られ、クロムアーマーに身を包み、ケープがたなびくファズマの姿はまさにアイドルです。

訓練生はファズマの姿を目で追い、自分もいつかあんなふうになりたいと願います。ファーストオーダーの訓練生たちは全員孤児として育った子供たちで、貧しい環境で育ったという過去があるようです。

“出身や階級は関係ない。成功すれば、第二のファズマになれる。”

キャプテン・ファズマはファーストオーダーのプロパガンダの一種として盛んに利用されています。そして重要なことは、ファズマ自身がその期待を上回る以上の実績を上げていることです。

ファーストオーダーの兵士や候補生にとって、ファズマはまさに生きるレジェンドで憧れの対象でもあります。

カーディナルはこのことについても危機感があります。「自分が育てた子供たちを、ファズマのようなモンスターの手の元に送っていいのだろうか。そんなこと許されるのだろうか。」

事実、艦内では訓練生たちが謎の失踪を遂げているという現実があります。彼らは訓練を拒否したり、故郷を恋しがって泣いたりしていた子供たちです。ファズマがやって来てから、そのような不可解な状況が増えたことに、カーディナルも気付いています。

「もし彼らがファズマによって排除されていたら。あるいは何か恐ろしいことがファーストオーダー内部で起きているのでは…。」

ファズマに関する真実を知ったカーディナルは、罪悪感にさいなまれます。

アーミテージ・ハックス

©Disney / Lucasfilm

レジスタンスのエージェントから得た証言により、ファズマがブレンドル・ハックスの殺害に関与していることが判明します。カーディナルはその情報が正しいことを確信し、そのままブレンドルの息子、アーミテージ・ハックスのもとに向かいます。

アーミテージにとってファズマはお気に入りの存在で、ふたりがいるのも同じ船(スター・デストロイヤー”Finalizer”)です。しかしどれだけファズマが重宝されようが、父親の死の真相を知れば、アーミテージの態度も変わるだろう…。カーディナルはアーミテージの部屋に急ぎます。

しかしアーミテージ・ハックスとの会話の中で、彼は父親の死を気にしないどころか、すでにファズマの行動を把握していたという事実を知ります。

「カーディナル、お前もバカな奴だな。父はファズマのことを理解していたし、それは私も同じだ。ああ、ファズマが奴を殺したことは知っていたさ。あの老いぼれが亡くなってくれて嬉しいよ。あのことについては、我々ふたりはちょうど同じときに同じ意見にたどり着いたのだよ。私は彼女に証拠を残さぬよう伝えた。そういうことだ。」

しばらくの間、カーディナルはただその光景を眺めることしかできなかった。

「あなたは…知っていた?」

「もちろん知っていたさ。私はいつだって全てを把握している。今ここで問題なのは…お前はこの事実を知って、さあこれからどうするのかということだ。」

カーディナルは一歩下がる。身体はまるで宇宙空間に浮いたような感覚だ。息もできず苦しくなる。

「何でもありません。私は何も知らず、証拠もありません。」

実はこの翌日には大規模な会議がFinalizerで開かれる予定で、ファーストオーダーの幹部も一同に会すことになっています。カーディナルは証拠を集め、その会議でファズマの本性を暴露することを決意します。

レジスタンスのエージェントは、ファズマの故郷にて証拠(ファズマのナイフ、ブレンドルに使用された猛毒をもつ虫)を回収することにも成功しています。この時点ではカーディナルとレジスタンス・エージェントとの間には奇妙な連帯関係が生まれており、カーディナルはその証拠を使い、幹部の前でファズマとアーミテージの秘密を暴露する計画です。

その会議にはカイロ・レンも出席する予定です。カーディナルは「証拠を示せばカイロ・レンや他の幹部も同調してくれるだろう」と考えます。

しかし会議の場に到着すると、パスコードが変更されていて、カーディナルはその部屋に入れないことが分かります。アーミテージはすでに先手を打っており、カーディナルの作戦はこうして失敗に終わります。

「ハックス将軍、コードを変更されましたか?」彼は通信機に話す。

溜息が聞こえる。そしてアーミテージはこう言った。「そのとおりだ。君の出席はもう必要なくなった。通常業務に戻ってくれて結構だ。」

「しかし…」

「良き兵士は上官には反論しないものだよ、CD-0922。」

「イエッサー。」

「以上だ。」

通信が途絶える。空っぽのホールに取り残された。これでもうおしまいだ。

カーディナル vs. ファズマ

カーディナルがいる船のトレーニングルームにファズマがいるのが分かり、その場所に向かいます。そこでライオット・バトンを使っての対決が始まります。

このときファズマは独特の雄たけびを上げます。これはVi Moradiの証言にあった、ファズマの星の人たちの戦闘スタイルに合致します。

ファズマはカーディナルの戦闘シミュレーションを詳細に研究しているため、カーディナルの戦闘パターンは読まれているようです。そこで最終的にカーディナルはライオット・バトンを投げつけ、ファズマに突進します。

カーディナルがマウントを取った状況になり、その状態でファズマが過去に使用していた毒が塗られたナイフ取り出します。それでファズマを刺そうとするものの、ガードされ、気が付いたら体勢が入れ替わり逆転している状況になります。カーディナルはそのナイフで二度刺されてしまい、勝敗が決します。

ここで地面に這いつくばるカーディナルの頭には、あることが浮かびます。

“ファズマの素顔は醜いのか、それとも絶世の美女なのか”

これはカーディナルの同世代の人間にとっては最もホットな話題であったようです。しかしカーディナルの知る限り、ファズマはヘルメットを一度も脱いだことはありません。ここではついにその瞬間がやってきます。

「ケダモノ。」

この非難に対して返事はなく、ファズマはその代わりにヘルメットを脱いだ。

SivがViに話した通りの青い瞳、そして柔らかな金色の髪に青白い肌。恐ろしいほどの美しさだ。それを知るのは彼しかいない。

ファズマはカーディナルを蹴り上げる。彼はうめき声を上げることしかできない。

ファズマは膝をつき、カーディナルのヘルメットを取り去る。床に置かれ、隣同士並べられたヘルメットは、まるでこの光景を眺める観客のようだ。光り輝くシルバーに真っ赤なヘルメット。

「人はみんなケダモノだ。」ファズマは言った。ボイスコーダーなしの彼女の声は、全く違って聞こえる。

ファズマの星に生息している猛毒の虫を、カーディナルはこの場所に持ち込んでいます。それをカーディナルが所持していることに気付き、ファズマは驚きます。そしてファズマはその虫を放ち、トレーニングルームを後にします。

その虫は凶悪な毒性をもち、刺された人間の身体は溶け、最終的には骨と少しの臓器しか残りません。ブレンドル・ハックスも同様の状態で亡くなっています。

カーディナルは毒が塗られたファズマのナイフで刺され、その上毒虫まで自分に襲い掛かろうとしているという状況です。

しかし、そこにストームトルーパーの格好をしたViが駆け付けます。彼女はカーディナルを連れてハンガーデッキに向かい、ファーストオーダーの船でそのまま脱出します。

「どこに向かっているんだ?」彼は尋ねる。頭上ではハイパースペースに飲み込まれ、答えを待つために意識を保つだけで精一杯だった。

Viは彼の前に立って、ストームトルーパーのヘルメットを取り去り、ゆがんだ笑みを浮かべた。カーディナルにとって今ではすっかり馴染み深い笑みだ。彼女の目の下にはクマがあり、ひたいには拷問の焼け跡が残っていた。

なんというふたりだ。共に宿敵で、半死半生。それでいて、ふたりして宇宙に逃げ込もうとしている。

「約束したんだよ。」Viが口を開く。「Sivに言ったんだ。必ず迎えに行くって。私が約束を守る人間だってことは知ってるだろ。彼女とTorbiが凄い医療設備付きのステーションで暮らしてることが分かったんだ。だからあんたも気にしないよな。それじゃ、今からあんたの感染を遅らせてやるから、そっちはあたしの言うことを聞いて、しばらく寝てな。なあに、死にはしないよ。」

答える間もなく、自分の肩に針が刺さるのを感じた。身体の力が抜けていく。ここから先は全てなすがまま。多分彼は生きているかもしれないし、いや死んでいるかもしれない。おそらくいつの日か、彼はファズマを葬り去るための方法を見つかるかもしれない。しかし、今彼にできることは、この麻酔に身をゆだねることだけだ。

世界が暗闇へと変わっていく。

最高指導者スノーク

小説の10年前の時点で、すでに最高指導者”Supreme Leader”(スノークとは言及されていない)という立場にいる人物が存在したことが判明しました。もしかすると10年前のエピソードのときにも、ブレンドルがスノークの名前を出していたような気がするのですが、最初に読んでいるときにメモを取っていなかったのでその辺が少しあやふやです(申し訳ない)

一方、小説の現在でははっきりスノーク、あるいは最高指導者スノークと言及されています。

小説の舞台が『フォースの覚醒』の3年ほど前だと推測すると、13年前にはすでにスノークがファーストオーダーと関係があったことになります。

ちなみにレイは『フォースの覚醒』の時点で19歳で、ジャクーに置き去りにされたときが5歳くらいだと仮定すると、14年前の出来事ということになります。レイがジャクーに放置されたことにスノークが関係していたというセオリーは、時間軸的にはそれほどおかしくはないことになります。

個人的には意外と”レイ=ルークの娘”セオリーもあり得るかもしれないと思い始めています。

”レイはルークの娘。ルークは娘とのフォースの繋がりが消え、彼女が死んだと思っている。そしてスノークがそれに関連している”

意外と…ありか?この辺の考察は別の記事で書きます。

レイ・スローン(Rae Sloane)

Rae Sloane

©Disney / Lucasfilm

レイ…スローン…カタカナにするとかなり紛らわしい名前です。しかもGrand Admiral Thrawn(スローン大提督)とはランクも同一ということもあり、日本語にするといっそう分かりづらくなります。

Rae Sloaneの名は小説『Phasma』の中でも言及され、彼女はGrand Admiral(別の箇所では単にAdmiral)と表現されています。

ファーストオーダーのヒエラルキーに関しては正直よく分からないのですが、おそらくレイ・スローンが権力の頂点に立つナンバー1で、ブレンドル・ハックスはその二番手、ナンバー2であると考えられます。

皇帝パルパティーンの死後、ジャクーの戦いを経て、レイ・スローンは数少ない残党を連れて未知領域に旅立ち、そこでスター・デストロイヤー”Eclipse”と合流します。その段階ではレイ・スローンが最高位のランクです。ファーストオーダーが設立されたときも、レイ・スローンがトップの地位にあったことが想像できます。

レイ・スローンと最高指導者スノークのパワーバランスは不明なのですが、少なくとも権力の衝突はなく、レイ・スローンとブレンドル・ハックスのふたりはスノークとの併存関係を保っていたようです。

レイ・スローンの設定上の年齢はハン・ソロより少し年上のようなので、『フォースの覚醒』の時点でもし彼女が生存しているとすれば、おそらく70代くらいになっていると思われます。仮に生存していても、すでに第一線からは退いているかもしれませんね。


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