『オビ=ワン・ケノービ』第三話にて、オビ=ワンが記憶の中にかすかに残る弟について話す場面があった。
短いがなかなか真に迫ったシーンで、自分としてはかなり強烈なインパクトを感じた。
そういえばジェダイがオーダーに入る前の記憶をさかのぼるというのは極めて珍しい。しかもこれは他でもないオビ=ワンだ。貴重なエピソードであり、それだけに重要なメッセージが込められていた。
失った家族
オビ=ワンが失った人生の一部。家族と一緒であれば築けたであろう、幸せな思い出の数々。ジェダイ・オーダーが強いてきた自己犠牲──。正義のためとはいえ、本当にその価値があったのか?オビ=ワンの頭にその思いがよぎる瞬間だ。
彼は人生の目的を失っている。これはドラマ序盤を通しても描かれてきた。かつての姿からはほど遠い“壊れた将軍”は、フォースとの繋がりすらも途絶えかかっている。このような辛く厳しいときにこそ、信仰心が試されるものだ。
そこにレイアが訪れる。くしくもこの子も幼いときに兄妹から引き離されていた。なんの因果か、オビ=ワン自身がそれに関わった張本人なのだ。
レイア、君は知らないだろうけど、本当はまだ血を分けた家族が存在するんだよ。君は独りぼっちではないのだよ。オビ=ワンのことだ、そのことが喉まで出かかったにせよ、どうしてもそれだけは明かすことができない。
しかし、たとえ大いなる目的のためとはいえ、はたしてそのために家族を奪ってもよいのだろうか?
フォースの感受性をもつ子供たちは、幼い時期にジェダイ・オーダーに“選ばれ”、檻の中で生涯を送る。オビ=ワンはその歯車の一部だった。そうして組織のために身を粉にして働いてきた。だが今、あれやこれやの出来事を思い浮かべたとき、それでもその価値があったと言い切れるのだろうか。
人は誰しも家族と一緒に暮らすべきだ。人間が生来持つ権利をもてあそんでいいはずがない。
だが、ジェダイ・オーダー崩壊を前にしてもなお、オビ=ワンは疑うことなく「家族を引き裂く道」を選んだ。悲しいかな、彼は外の世界の生き方を知らなかったのだろう。
これはジェダイにまつわる悲劇の連鎖なのだ。何気ない一コマだが、こうしてみれば、なかなか深いテーマが秘められている。
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