ハイ・リパブリック小説『The Fallen Star』を読み終えて

※ネタバレは一切含みません

『The High Republic: The Fallen Star』を読んだ。タイトルが指すように、スターライト・ビーコンの顛末はなんとなく察しがついていた。あとはそれがどのように進んでいくか、と気になっていたのはそれだけだった。

公式プロモーションすらも「誰が生き残るか」と書くほどサバイバルゲームを匂わせていた本作だが、では実際に読んでみてどうだったか。さて結末はいかに。

© Lucasfilm Ltd.

まあ、一言でいえば「SFタイタニック」だろうか。時代を象徴する船が無残にも真っ二つに!?…うん、まさにタイタニックだな。

前作、前々作でも思ったのだけど、ハイ・リパブリックはこの手の“パニックホラー”がとても多い。ジェダイの物語なのにライトセーバーすら使わせないのだから、大したものだ。

さらに今作では、ヴィラン不在というまさかの展開のままフィナーレまで持っていくのだ。それでも面白いのだから不思議。

以下、ネタバレなしの簡単な感想を。

沈む星あれば浮かぶ星あり

アウターリムにおけるジェダイ・アウトポストの本丸ともいえる“スターライト・ビーコン”。それがあっさりと、しかもモノの見事に陥落したとき、ジェダイの命がいとも簡単に奪われる事態となる。ヒーローたちは慌てふためき、なすすべもなく無残にも崩れ去る。だが銀河には、それすらも一大ショーに変えてしまう連中がいた。そう、ジェダイの悲哀は敵にとっては最大のエンターテイメントなのだ。

ロケーションはスターライト・ビーコン基地の一か所だけとシンプルそのもの。正直、真新しい要素も設定も皆無のため、最近いわれがちな“ワールドビルディング”などとは縁遠いところにある。前作で飛び出した“例の武器”もそのままの形で提示され、結局は謎のままだ。それでも何も問題ない。そんなこと全く関係ないのだ。本作はキャラクタードリブン型のストーリーでシングルイシューとあり、その分かえって読みやすかった。

中盤以降はスターライト・ビーコンの破壊に始まり、それがやがて「さてどうやってここから脱出するか」といよいよタイタニックな話となっていく。しかも、ここに“謎の怪物”要素も放り込んでいるところが、まさに一筋縄ではいかないハイ・リパブリックらしさだろう。技術の粋を集めて作られた優美な船が、真っ二つに割かれ沈みゆく悲劇。さらに内部に取り残されたジェダイを『エイリアン』さながらのサバイバルホラーに放り込む合わせ技だ。

© Lucasfilm Ltd.

それにしても人生色々、ジェダイも色々。ジェダイが三人いれば、三者三様の悩みを抱えているものだ。そんな彼らの人生が過去・現在と絡み合うとき、新しい色が生み出されていく。「あー、あいつはあのときこんなことを言ってくれたな。なるほど、そういうことだったのか」と昔言われた言葉がどこか頭に残っており、辛く厳しい暗闇の中で、それを道しるべに一歩一歩進んでいくのだ。

黄金期のジェダイ戦士?なんてことはない。どの時代に生きる人も、みんな地べたを這いつくばいながら必死に生きているのだ。みんなから尊敬される聡明なジェダイマスターだって、一皮むけば無力なものだ。だからどうした。フォースがあろうとなかろうと、そんなことヒーローになる妨げにはならない。辛く困難なときにこそ、人は本当の輝き方を知る。遠い昔になくしたはずの友人がひょっこり顔を出し、新たな絆が生まれる喜びだってそこにはある。

北極星は自分の輝きを知らない。自分の本当の価値を知らないのだ。ふとしたことで友人から取り残された気になるかもしれない。でも違う。みんなが道に迷ったときにでも、あなたがそこにいてくれるから、それを頼りに戻ってくることができるのだ。だからあなたが必要なのだ。

どんなに遠く離れても、空を見上げれば、決して消えることのない星がある。最も大切な友人で、最も尊敬するジェダイ。誰もいなくなってはいない。

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