編集者マルシア・ルーカスとスター・ウォーズ(1977年)

映画のラフカットはシーンがダラダラと長引き、しかもそれが延々と続くような酷いありさまだった。

だが、伝統的な削除するアプローチでは映画の躍動感まで奪ってしまいかねない。編集者ジョン・ジンプソンは解雇され、マルシアが後を引き継ぎ、彼女は映画を何とか救うべく、イチからやり直すことにした。よりエキサイティングでエモーショナルなものに仕上げようとする。

時期はクリスマス、それでもマルシアは映像の再編集にあたっていた。彼女がデス・スターのトレンチランを見直しているときだ。そこにマーティン・スコセッシから電話が入り、彼の映画『ニューヨーク・ニューヨーク』の編集者が亡くなったため、なんとしてもマルシアの助けが必要なのだと泣きついてきた。

彼女もスター・ウォーズに嫌気がさし、もっと芸術的な仕事がしたいと思っていた。夫からの仕事でなければ何でもよかったのだ。こうしてマルシアはLAへと去っていった。

ウィルラード・ハイクは次のように語る。

「ジョージにとってはマルシアが悪の巣窟に入っていくようなものだった。マーティは豪快だし、ドラッグもたくさんやる。ガールフレンドがたくさんいて、夜な夜な遊びまわっている男だ。一方、ジョージといえばファミリータイプの家庭的な人間だ。だからマルシアが言ってることは何一つ信じられないんだよ。よりによってマルシアがあんな連中とつるんでいたんだ、それが彼の怒りに火をつけた。実際、彼女はマーティと一緒にいるのが楽しかったしね」

春の終わり頃、スタジオ幹部とルーカスの友人たちを招き、スター・ウォーズの上映会が開かれる。しかし、ひとたび明かりがついてもなんの拍手もない。マルシアはたまらず泣き出してしまう。「これじゃ『At Long Last Love』のサイエンスフィクションじゃない!酷すぎる!」と彼女が泣きわめく。グロリア・カッツはすぐさま彼女のもとに駆け寄り「シー!ご婦人方が見てる。マルシア、いいからここは機嫌が良いフリをして」となだめようとする。

この夜の出席者にはスティーブン・スピルバーグやブライアン・デ・パルマもいた。上映会の後、みんなで夕食に出かけ、そこで映画の話をしようとなるのだが、とりわけデ・パルマはルーカスを激しく批判しバカにしていた。対照的にスピルバーグはというと、君はモダンクラシックを作ったんだよ、とルーカスを安心させようとする。もちろんルーカスがこの言葉を信じることはなかったが。

マルシアが去った後、あれからふたりの編集者が引き継いでいたのだが、公開日がいよいよ近づきジョージが苦しめられるのを目の当たりにし、彼女は一週間だけでも戻ることを決める。なだれ込むようになんとか映像を完成させたはいいが、当のルーカスはなんとまあ風変りな失敗作を作ったものだと思っていた。

幸いなことに続編の権利はルーカスの手にあり、ふたりの若手俳優マーク・ハミルとキャリー・フィッシャーもあと二作の契約があった。それにサイエンスフィクションには固定のファンベースが存在するため、大ヒットは望めないものの、制作費くらいは稼ぎ出すだろうと考えた。

ルーカスフィルムは、次回作はコストダウンし安上がりなものにしようと、スター・ウォーズの小道具からコスチューム、セットやモデルにいたるまで、ほとんどのものを取っておくことにした。もしルーカスが強く主張すれば、予算は規模縮小されはするが、次回作のゴーサインくらいは出るだろう。ウーキーの森の戦いなど、初期の草案で思い描いたようなより壮大な話をするだけの予算があったらどれだけよかったか。だが、今この期に及んでは、残された選択肢は中規模予算のスペースアドベンチャーくらいだろうと思われた。

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