オリジナルトリロジー公開時のレビューはいかに

今日はスターウォーズの日ということで、いつもとは違う話題を。

映画のレビューを集め、それを平均化している映画評論サイト「Rotten Tomatoes」(ロッテントマト)。ロッテントマト公式は『シスの復讐』(2005)がリリースされた当時、それまでの映画六作に関して、レーティング基準を均等化して比較するという面白い試みをおこなっている。

批評家、映画ファン、スターウォーズファンetc。あらゆる層から総スカンをくらったプリクエルトリロジーだが、それと比べ神格化されるオリジナルトリロジーは公開時にどういった反応を受けたのだろうか。批判的だったレビューは時代の流れの中で埋もれ、称賛する声だけが残ったという側面がある。今ある価値観や評価は必ずしも公開時から存在していたわけではないのだ。

ロッテントマトは調査の中で、後世に出されたOTのレビューは一切無視し、映画がリリースされたときのものだけに注目することにした。当時の批判的な声はほとんどネット上には残っておらず、必要とあらば図書館のアーカイブに保管されたものまで掘り起こされたのだ。この試みがいかに貴重なものか分かるだろう。

それによると、オリジナルトリロジーのリリース当時のレーティング(※トマトメーター)は次のとおりだ。

※自分はロッテントマトの評価指標は分からないのであしからず

79% – スター・ウォーズ(1977)
52% – 帝国の逆襲(1980)
31% – ジェダイの帰還(1983)

これから見て取れるのは、肯定的な評価を受けたのは初代『スター・ウォーズ』のみで、それ以降の続編二作はともに否定的な反応だったことが分かる。今でこそシリーズ屈指の名作とうたわれる『帝国の逆襲』だが、この作品ですら公開当時の評価は52%、つまりポジティブレビューとネガティブレビューが半々だった。しかも『ジェダイの帰還』にいたってはわずか31%。ヘンテコなペース配分、キャラクターの発展がない、演技が下手、演出が最悪etc…と散々な評価を受けた。

これにプリクエルトリロジーを加えるとこのようなランキングになる。

83% – エピソード3: シスの復讐(2005)
79% – スター・ウォーズ(1977)
65% – エピソード2: クローンの攻撃(2002)
62% – エピソード1: ファントムメナス(1999)
52% – 帝国の逆襲(1981)
31% – ジェダイの帰還(1983)

駄作扱いされたプリクエルトリロジーと名作カテゴリーに分類されるオリジナルトリロジーだが、クリティックの反応だけに着目すれば、このように意外な結果が出てきた。散々こき下ろされたPTではあるが、とはいえOTもリリース当時はさほど変わらないかもっと悪いまでもあるのだ。

たしかにPTは映画としては非常に欠点が多い。三作連続でラジー賞を獲得したのも事実だ。直後の映画『クローンウォーズ』もノミネートされているから大したものだ。しかし、だからといってあのような激しい憎悪が向けられたのはなぜなのか。様々な理由が思い付くかもしれないが、ひとつはプリクエルトリロジーのときにはすでにファンベースが確立されていたこと。そして、インターネットが存在する中で迎えた初めての続編だったことも関係するだろう。

オリジナルトリロジーとて、もし公開当時にネットが存在していれば、もっと違った扱いを受けたことだろう。『帝国の逆襲』と『ジェダイの帰還』は真っ先にその標的になったかもしれない。

スターウォーズを語る上でしばしば忘れがちなのは、初代『スター・ウォーズ』はたしかに“大人”からも称賛されはしたが、それでも映画のターゲットオーディエンスは「子供」にあったということだ。スターウォーズはあくまで子供が楽しむものとして作られている。オンラインの世界にはガッカリした大人からの辛らつな声ばかりが並ぶが、肝心のターゲットオーディエンスの感想はなかなか伝わることはない。

その中でもシリーズ屈指の“子供向け映画”といえる『ファントムメナス』。あの映画は明らかに子供をターゲットオーディエンスに据えたものだった。世間からあざ笑われる対象となったのも、ひとつにターゲットオーディエンスと実際の観客の期待値に齟齬があったからだろう。

ジョージ・ルーカスは『シスの復讐』がカンヌで上映された際、記者会見の場でこのように語っている。

我々にはふたつのファンベースが存在することが分かっている。ひとつは25歳以上、他方は25歳以下だ。25歳以上のほうは最初の映画三つに忠誠心があって、彼らの多くは今では30代から40代になった。メディアをコントロールしているのはこの層だし、ウェブもそう。基本的にあらゆる場所が彼らに支配されているんだよ。そこにプリクエルのような彼らが面白く思わない映画が出てきて、実際両方の層から激しく嫌われてしまった。ウェブに行ってこの人たちの会話を聞けば分かるが、彼らはいつもお互いにいがみ合っていて、そういう意味では両方のグループの信仰心は全く同じといえるね。

先のロッテントマトのレーティングに話を戻す。たしかにスターウォーズは“子供向けの映画”とはいえ、初代『スター・ウォーズ』をアカデミー賞に選んだのは他ならぬ“大人”のほうだ。OTがヒットしたのもひとえにこの層の支持があってこそのものだった。

実はロッテントマトの調査には欠点、というか不備がある。ひとつはOTのレーティングで使用されているのは信頼性が確立された有名紙、他方、PTでは信用性に欠けるウェブ媒体が数多く収録されているという違いだ。ロッテントマトはこの指摘を受け、後日“トップ・クリティック”セレクションなる項目を設け、メジャー紙・大手雑誌から構成されるレーティングを公表している。それが次のとおりだ。

40% – ファントムメナス
37% – クローンの攻撃
68% – シスの復讐

『ファントムメナス』は62%から40%、『クローンの攻撃』は65%から37%、『シスの復讐』は83%から68%へと下降修正された。これはおおむね現実の反応と一致したものといえる。時代を代表するガッカリ作品『ファントムメナス』、それに続きさらに駄作が飛び出した『クローンの攻撃』、ようやくなんとか観れるものとなった『シスの復讐』。だいたいこのような感じだろうか。

だからといって、オリジナルトリロジーもリリース当時は今のように“みんなに愛される映画”だったわけではない。クリティックの反応は初代『スター・ウォーズ』以外は手厳しいものだったのだ。

今回の内容はあくまで2005年当時までの総括、しかも批評家の声だけに着目したものではあるが、これはその後製作されることになるシークエルトリロジーにも十分適応可能だろう。作品の批評は“いつ”“どこで”“誰が”によって微妙に変化するものだ。ファンベースがすでに確立されたフランチャイズの続編ではこの傾向が強い。

…と、せっかくのスターウォーズの日だ。自分は他人のレーティングを一切気にしないことにしたのだが、それでも今日くらいはこのような話も悪くないだろう。

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