交通事故と人生の転換点

ルーカスが15歳のとき、家族はモデスト郊外の農場に引っ越す。

あらゆるものから隔絶された、寂れた場所だった。友人たちから遠く離れてしまったことで、ルーカス青年はますます孤独感を強める。それがそこから逃げ出す唯一の方法だったのだろう、彼が車に夢中になったのも不思議ではない。

自動車に取りつかれた10代を過ごし、そのときは真剣にレーシングカーのドライバーになりたいと思っていた。しかし、18歳のときに思いがけない事件が起きる。交通事故を起こし、危うく命を落としかけたのだ。高校を卒業する前日のことだった。

特別仕様のレーシング用シートベルトは真っ二つとなり、車が横転する最中に、彼の身体は窓から放り出される。だが、これはある意味幸運だった。車はそのまま木(自宅敷地内にあったクルミの木)に突っ込み、絡まった状態だったのだ。彼があのまま車内に取り残されていたら、おそらくは死んでいただろう。九死に一生を得たわけだ。

ルーカスはこのときのことを覚えておらず、数日後、病院のベッドでようやく意識を取り戻す。

「みんな私が死んだと思ってたよ。なんせ息はしてないし、心拍数もない。骨は2本折れて、肺も潰されていた」

この出来事がきっかけでルーカスは人生を考え直すことになる。

「これはただの事故じゃなかった。どう論理的に考えても死んでいたはずの事故だったんだ。このような経験をするとね『どうやって助かったんだろう?』『なぜ助かったんだろう?』と思うはずだ」

ルーカスはこのときのことをさらに詳細に語っている。

「病院でしばらく過ごしていて、このままレースドライバーになるのは得策じゃないぞと思ったんだ。なんせこんな事故の後だからね。事故の前にはどれほどギリギリのところに近いかなんて理解してないから、危険なんて頭になかったのだけど、一度その端を越えてようやく向こう側を知り、それで見方が変わった。

私はクラブに入っていたから、たくさんの仲間がレースドライバーだったんだ。その中のひとりはルマンにも行ったよ。でも彼も同じ経験をして、止めることになった。その先の未来を知ってしまうと、このまま行けば死ぬだろうと分かってしまうわけだ。ほとんどの人はそうなってるからね。これは避けられない。長くいればいるほど、それがいつかやってくるのは間違いない。それで、どうもこれは私の進む道じゃないなと分かったんだ。ここはひとつ落ち着いて、学校に行くことを決めた」

学校の成績が平均以下だったルーカスはモデスト・ジュニアカレッジに進み、そこでソーシャルサイエンスを学ぶ。ジュニアカレッジ時代の最初の年は人類学を専攻した。ジョゼフ・キャンベルに初めて触れたのもこのときだった。

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2 thoughts to “交通事故と人生の転換点”

  1. ルーカスはよく「誰にでも得意なことはある、それに気付けるかが問題なのだ」と言ったり、
    公式本の「ジェダイの哲学」でも、”フォースの導きに従えば人はその人の天分をまっとうできる”、という内容がありました。

    ルーカスが映像の道に進んだのはまったくの偶然なので、ジェダイの思想が語るのように、運命的なものを感じますね…

    1. なるほどー。ルーカスの映像的な才覚って凄くて、学生映画の時点ですでにその片鱗が見えるんですよ。こういう人が映画方面に進んだのはまさに運命かもしれない。

      で、しかも奥さんが超優秀で70年代の映画史を支えるほどの名編集者になるってのも凄い。

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