『最後のジェダイ』が示した試練とヒーローの資質

前作『スター・ウォーズ / 最後のジェダイ』からもう2年。時間が経つのはホントに早いですね。なんかあっという間な感じがする。

先日『最後のジェダイ』のルークについて記事を書いたのですが、もうひとつフィンのことも書いておきたいなーと思いつつ、ズルズル先延ばしをしていて、気付けば『スカイウォーカーの夜明け』まで10日余りという状況になっていました。

せっかくだから公開前に前作を振り返りたいし、簡単に言いたいことをまとめて投稿することにします。

今回はEP8の試練をテーマにフィンとルークに的を絞って話していこうと思います。

試練

フィンにとっての最初の試練がローズだ。ここでは助けを必要としている者に手を差し伸べることができるかどうかが問われていたのだが、彼はあえなく失敗する。

姉を失い泣いているローズを尻目に、それを無視してレジスタンスの船から脱出しようとしてしまうのだ。

ローズは当初、レジスタンスの英雄を目の前にしフィンに対する憧れを口にするのだが、彼が本当は仲間を放り出し、逃げ出そうとしていることを知ると、その心はやがて怒りと失望に変わる。

©Lucasfilm Ltd.

レジスタンスの英雄と言われまんざらでもない様子のフィンだったが、しょせんそれは薄っぺらい虚像だ。ローズにそれをまんまと見透かされ、手痛い失敗となってしまった。

一方、ルークに試練をもたらすのがレイだ。

しかし、ルークはフィンとは対照的に、自ら虚像の殻を打ち破ってみせる。ジェダイの本質は傲慢さと偽善にあり、だからオーダーは失敗したのだと語り、“ルーク・スカイウォーカーの伝説”も一皮むけばなんらそれと変わりはないことをほのめかす。

「ルーク・スカイウォーカーなど必要ない」「光る剣でファーストオーダーと戦うとでも思っているのか?」

自分はお前が期待するような男ではないとレイを突き放す。ルークの辛らつな態度はジェダイに対する疑いの心を示していた。

©Lucasfilm Ltd.

このようにフィンとルークは最初の試練にもろくも失敗してしまう。ふたりに共通するのは、周りが想像するヒーロー像に自分が相応しくないことを本人が知っていることだ。

ひょんなことから「レジスタンスの英雄」となってしまったフィン。銀河で最も有名な「伝説のジェダイ」であるルーク・スカイウォーカー。

これらの称号は本人にとってはなんら価値はなく、ある意味虚像なのだが、それが彼らの肩にのしかかっていた。

しかし、彼らは決して間違っていない。それはふたりの視点からみればよく分かる。

フィン:常に逃げ出そうとする。レイに会いたい一心で、レジスタンスに命をとす義理はない。脱走兵のフィンにとっては、レジスタンスの戦いなどしょせん他人事。

ルーク: 自分に失敗者の烙印を押し、過去の出来事を恥じながらジェダイの始まりの地で人知れず朽ち果てようとしていた。ジェダイとしての使命が終わった今、それ以外の戦いに関わる気など毛頭ない。

脱走者フィンと落伍者ルーク。彼らにはそれぞれ目的があり、レジスタンスが掲げる理想は耳には届かない。

ファーストオーダーから抜け出したフィンには、ようやくつかんだ自由を手放す理由はない。フィンが唯一気にするのはレイの安全だけだ。

ルークについても前作でハンの口から「責任を感じて身を隠した」ことが語られており、仲間が危険に晒されていても助ける気がなかったことは明白だ。レイアから指令を受け、オクトーを訪れたレイだが、当のルークはとてもその誘いに応じるとは思えない状況にあった。

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つまり『フォースの覚醒』の終了時点では、ふたりにはレジスタンスの戦いに身を置くだけの個人的な理由が存在しないことが分かる。

そこにスポットを当てたのが『最後のジェダイ』だ。映画の出来事を通して、ふたりに戦う意味と背景を与えた。

変化

フィンとローズが出会った直後、ポーを含めて三人で作戦を話し合うシーンでその機会が訪れる。

ここでローズは「フィンとは偶然知り合った」とし、彼が逃亡しようとしていた事実は伏せる。彼女はフィンに、ヒーローであることを証明するチャンスをもう一度与えたのだ。

フィンはこれに即座に飛びつく。この変わり身の早さと生来の正義感の強さがまさにフィンの持ち味だろう。

彼はレイとの唯一の繋がりでもあったビーコンをポーに手渡す。これは自分が逃げ出さないようにと釘を刺し、自ら退路を断ったことを意味していた。こうしてフィンはレジスタンスを救う旅へと出ることになる。

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これ以降、フィンは映画の様々な場面で試練に直面し、それを乗り越えてみせる。

ファズマとの決闘では「(俺は)反乱軍のクズだ」と言い放ち、クレイトではポーの制止を振り切って自らの命を投げ出そうとするまでに変貌を遂げた。

逃亡者だったフィンが真の英雄に生まれ変わった瞬間だ。

ローズと最初に出会った場面が重なる。今や彼女の目には本物のヒーローの姿が映っていた。フィンはあのときから大きく成長し、自分が信じる正義のために命を賭して戦うまでの男になったのだ。

ギリギリのところで救われた命は『スカイウォーカーの夜明け』の冒険へと引き継がれ、ラストバトルではいよいよヒーローの真価が問われることとなるはずだ。

©Lucasfilm Ltd.

一方、ルークにとって転換点となるのが、雨の中でレイと対峙するシーンだ。ここでルークはようやくベンとの間に起きた真実を打ち明けることとなる。

自分の弟子で、甥でもあったベンにライトセーバーを向けた後悔と恥の記憶。弟子たちを守れなかったという心の傷。それを口にしたルークは力なく崩れ去った。もはやレイの誘いに応じる気力など残ってはいない。

ベンを救うことなどもはや無理だ。それを分かっていながらレイに力を貸すことなどできない…。

ルークの諦めの表情はそう物語っていた。(※どうやらこのときのルークには別の思いもあり、それがEP9に関わってくる可能性も。ただ、映画のネタバレにもなるためこの辺で)

レイが島から去っていくのを眺め、ようやくルークは意を決し、オクトーにやって来た当初の目的でもある「ジェダイツリーの破壊」を実行に移す。こうして長いジェダイ・オーダーの歴史がついに幕を閉じようとしていた。

ヨーダが姿を現すのはこのときだ。

絶望的な状況に光を見いだし、そこから一気に希望へと転ずる。これがまさにスター・ウォーズの真髄でもあるかもしれない。

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燃える木はルークが抱えていた虚像の象徴だ。ジェダイ・マスターとしてのあるべき姿、傲慢さ、恥じと後悔の念。ルークはこれらの過去の負の記憶にとらわれていた。

ジェダイの木が燃え去り、その呪縛からついに解き放たれたのだ。霧が晴れたかのように物事は鮮明になり、そのとき本当に大事なものに気付かされる。

最期の瞬間、ルークはクレイトに降り立った。全滅寸前だったレジスタンスに希望を示し、自分の命と引き換えに次の世代にトーチをつないだ。映画冒頭にてライトセーバーを放り投げたルークだが、このときには「自分は最後のジェダイではない」と言い放つまでに心境が変わっていた。

ルークは紆余曲折を経た旅路の果てにレイと出会い、レガシーを次に伝えるべき者にめぐり合えた。ヨーダの助けを借りて、その価値にようやく気付いたのだ。

劇中にてホルドが引用していたレイアの言葉が思い出される。

「希望は太陽のようだ。見えるときにだけ信じていては、決して夜は越せない」

厳しいときこそ信念が問われる。逆境のときだからこそ、希望を失ってはいけない。ホルドは若いポーを戒めていた。

クレイトで見せたルークの後ろ姿は、レジスタンスにとってまさに太陽だった。暗闇を照らす大きな光だ。その灯が消えてもなお、レジスタンスの戦士たちが希望を捨てることはないだろう。それほど強烈な光を残した。

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これはポーのセリフにつながる。

「俺たちは火花だ。それがファースト・オーダーを燃やし尽くす火をおこす」

ルークによって救われた命だ。彼らにはその希望を次に伝える使命がある。

だが、レジスタンスにはまだレイアが残されている。レジスタンスの指導者として、レイにとってはジェダイの師として、『スカイウォーカーの夜明け』ではルークに代わる光としてみんなを導く存在となるはずだ。

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One thought to “『最後のジェダイ』が示した試練とヒーローの資質”

  1. 完全に同意。
    『最後のジェダイ』の偉大さは必ず歴史が証明するでしょう。
    すでに創造主ジョージ・ルーカスが「beautifully made(美しい仕上がり)」と太鼓判を押していますからね。

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